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生徒さん作「魚座」の窓

5月も下旬になり、小さかった木々の葉っぱがどんどん成長しています。あっという間に初夏の風情です。
今日は、先日完成した生徒さんの作品をご紹介します。この作品は生徒さんのM様がご自身が原画を描きました。テーマは「魚座」です。
シンプルな線、深い青色の背景と水色の魚、黄色の星、絵柄の構成が非常にすっきりしていて、しかも深みがあります。その深みの秘訣は絵付けによる「陰影」です。背景にはいわゆる普通の青いガラスを使っていますが、影をつけることで、夜空のような神秘的な雰囲気が出ます。水色の魚や黄色の星の部分も、影をつけ、さらにランダムに引っ掻くような模様をつけたことで、ガラスに非常に凝った質感が出ています。M様がご自身の感性でつけた模様が素晴らしい効果をあげています。美しい絵本のようですね。
絵付けの前と後では印象がまるで違うのがおわかりいただけると思います。
M様は星座シリーズで連作予定で、いまは「水瓶座」に取り組んでいらっしゃいます。こちらもご自身のデザインで非常に素敵に進行中ですので、完成したらご紹介しますね!
蘇ったアンティークステンドグラス

こんにちは。工房のすぐそばでカッコウが鳴く季節になりました。「カッコウが鳴くと野菜の苗を植えてもいい」とはこのあたりの方によく聞く言葉です。確かに、この間バジルを植えたら、その夜に氷点下になってしまって葉が黒く変色してしまいました。5月でも寒い原村ですが、いよいよカッコウが鳴いたので、今年もいろんな苗を植えてみようと思います。
さて、今日は昨年取り付けたアンティークステンドグラスの間仕切りをご紹介します。ずっと倉庫に眠っていたステンドグラスを修復し、空間の間仕切りとして設置することになりました。もともと木製の窓枠に入っていたのものですが、木枠を解体してステンドグラスだけを取り出し、歪みや割れを直しました。大きな窓で、しかもかなりしっかりした作りの窓枠でしたので、外すのがかなり大変でした。ステンドグラスを囲む4辺が固いパテで固定されているのですが、そのパテをガラスを割らないように注意しながら少しずつ割りとっていくのです。古い作品ですが、パテを削ると当時のオレンジオイルのいい香りがしました。
修復が終わり、もともと木枠だったところにデザインをつなげるような新しいパネルを作成し、いよいよ取り付けです。施工業者の方にサイズをお伝えし、特注のスチール枠を作っていただきました。設置場所は背景に窓のある空間でしたので、表からも裏からも、非常に美しく見えます。1セット5枚のパネルが同デザインで2セット。一枚ずつフレームに取り付けていきます。
透明ガラスを使ったアンティークステンドグラスでしたので、窓の外の美しい木々を隠すことなく、軽やかで透明感のある間仕切りになりました。スチールフレームもとてもモダンで、現代的な建物にステンドグラスがアクセントになっています。設計士の方と施主さまのセンスが素晴らしいなと思いました。保管されていた時の姿を知っているので、美しく蘇って新たな建物に設置されたことが本当に嬉しかったです。
孔雀の窓

数年がかりで修復していた3点セットの「孔雀の窓」があります。色鮮やかな古いアンティークステンドグラスです。
当工房で修復を終え、一度は所有者の方に納品していたものですが、この度、所有者さまの別荘に取付けることになりました。その際、階段の吹き抜けの天井高に合わせて、一番下に新たに横長のステンドグラスを1点、また元々木製建具が入っていたスペースに合わせて細長いステンドグラスをT字の形に2点追加することで、1枚の絵のように仕立てることになりました。
↓元々、木製の建具に納められた開閉式の窓でした。
古い建具を取り外し、歪みを直すため、組み直しの修復をしました。
デザインに統一感を出すために、元々あった一番上のステンドグラスのデザインをそのまま生かしました。オリジナルを光に透かし、デザインを写し取ります。デザインは同じでも、オリジナルが作られた当時のガラスと同じガラスは手に入らないので、なるべく似た色と質感のガラスを選び、オリジナルと同じ絵付けを施すことで違和感のない仕上がりに。
上から2段目の横長のステンドグラスと中央縦長のステンドグラスも、オリジナルのデザインをつなげるような絵柄にし、ガラスも似たものを選びました。
全てのステンドラスの製作を終えるといよいよ取付施工です。
ステンドグラスの寸法に合わせて特注したスチールフレームに入れていくのですが、現場でのサイズ確認の時、いつもとても緊張します。何度も何度も確認しながら進めてはいるものの、フレームとステンドグラスのサイズに間違いがあれば納めることができないからです。でも今回も無事、サイズはぴったりでした! 今回はステンドグラスのサイズが大きく、枚数も全部で6枚と、かなり大掛かりな取付でしたので、作業は2日かかりました。設置場所が階段の吹き抜けのため、足場に上がっての高所作業です。
ガラス張りの階段ホールで一際目を惹く美しい仕上がりになり、所有者さまにも大変喜んでいただけました。
生徒さん作「2羽の小鳥」の窓ができました

昨年の夏から当工房のステンドグラス教室に通ってくださっているO様。ご夫妻で原村に移住され、当工房のお近くにお住いです。そのO様の初めての作品を、最近ご自宅に取付けました。施工は、なんとO様のご主人様。普段から木工をされていて工具を使うのも慣れていらっしゃるので、簡単な説明だけで取付完了。すごいです。
この「2羽の小鳥の窓」はO様が自分で描かれたデザインです。ステンドグラスを作るのは初めてでしたが、ご自身の絵を元にお好みの色のガラスを選び、葉の葉脈や小鳥の羽に陰影をつけるための絵付も取り入れて素敵な仕上がりになりました。
取付場所は北側の階段の明りとりの小窓です。北側というのは、眩しすぎず安定した静かな光が入るので、色ガラスがとても美しく見えます。ログハウスの壁によく似合う、素敵な窓になりました。
フランス製アンティーク窓のリメイクが完成しました

大変久しぶりの投稿です。なんとおよそ1年ぶり。この1年間、大きな作品の修復や取付をしておりました。それが一段落しましたので、この1年間の仕事を時間を遡ってご紹介していきます。まずは、まさに今日、修復が終わった作品です。
お客様がフランスから直輸入された2枚の窓。それを、割れたガラスの取り替えや補修をしつつ1枚の窓に仕立てる修復です。
19世紀後半フランスの絵付の窓です。同じデザインで2枚あります。リップルガラスという凸凹のあるガラスに絵付したり、赤い被せガラスの表面を酸で融かして透明にしたりと、非常に凝った技法を駆使した作品となっております。また、特筆すべきはガラスカット。当時の職人の腕自慢でもあったのでしょう、丸く抉られたガラスカットがされていて、見応えがありつつも、反面そこが弱点で、年月を経てその部分が割れてしまっていました。
今回は、割れたガラスを交換し、一部をブリッジで修復した上で、2枚の同じデザインの窓を上下につなげて1枚にするという修復をしました。
使われているリップルガラスは、青色の流れのある非常に美しいものでした。平らな面から線を絵付けし、さらに陰影もつけています。透かすと非常に美しいです。
完成! 2枚が違和感なくつながり、上下のリップルガラスの青色と、被せガラスの赤色が印象的です。中央部が透明なので、軽やかで上品な仕上がりとなりました。