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葡萄のスリット窓をご紹介します
続きまして、先週取り付けたばかりの「葡萄のスリット窓」をご紹介します。
東京・練馬、Hさまの会社のエントランスにある「磨りガラスのスリット窓」。その磨りガラスをステンドグラスに取り換えたいというご注文でした。
「間仕切りなので、向こうが見えないようにしたい」
というHさまのご希望により「不透明ガラス」のステンドグラスに。デザインは「植物で」ということで、4パターンのデザイン画を描き、ご提案しました。この窓の特徴は、その細長さ。横幅が122ミリ、高さは1805ミリ。会社のエントランスということで、上に伸びる蔓性植物を中心に、葡萄やクレマチス 、蔓薔薇などを細長い窓に合うようデザインしました。
選ばれたのは、葡萄のデザインでした。2枚並んだ窓ですので、左右少しだけデザインを変えて自然な対称となるようにしました。原寸大のデザイン画を描き、それを見ながら、使用するガラスを選んでいきます。今回は、Hさまのご希望により不透明ガラスを使用しましたが、一部透け感のあるもの、オパールのように輝くものなども取り合わせ、上品ながら華やかな印象に。
下絵通りカットしたガラスを、確認しながら配置します。細長い窓のため、今回は鉛線で組む技法ではなく、カパーホイルを巻き、ハンダづけをする技法を採用しました。より柔らかく繊細な表情となります。
すべてのガラスピースをハンダでつなげたところです。この銀色のハンダを、最後に黒く染めていきます。
完成! 歪まないように、外周は真鍮でしっかりと補強してあります。現場での取り付けに使う押縁は、もともとの建具と色を揃え、明るい茶色に塗装。準備を整えて、ステンドグラスが決して割れないように木箱に入れて東京へ。10時着のお約束のため、朝7時前に出発です。
Hさまの会社では、まず、取り付けられている磨りガラスを建具から取り外す作業から始めました。今回の建具は押縁が接着されていて取り外せなかったため、ガラスを割り取るという方法に。磨りガラスの裏全体にテープを貼って飛び散りを防止し、ガラスカッターで切れ目を入れて、ハンマーで割り取る。4ミリ厚のガラスがどんどん割れます。
こんなに割り取れました! このあと、ステンドグラスを嵌めていきます。
ステンドグラスの表裏を押縁でしっかり固定して取り付け完了です!
階段側から見たところ。エントランスの壁のオパール塗装と似合っています。屋内でも、照明があたるとガラスがきらきらと輝きます。
↑ 取り付け前 ↑ 取り付け後
取り付け前と印象がだいぶ変わり、Hさまにもとても喜んでいただけました。
生徒さん作の窓をご紹介します
こんにちは。久しぶりの投稿です。いつの間にかアトリエ周辺の木々も色づき、カラマツの葉が落ち始めています。
10月中旬から11月初旬にかけて、生徒さんの作品や注文窓の取り付けラッシュが続いていました。ようやく一息つきましたので、ひとつずつご紹介したいと思います。
まずは、教室に通ってくださっているHさん作の窓。
シンプルな線がお好みのHさん。モダンなデザインで、その分ガラスの色の美しさにこだわり、貴重なアンティークガラスをたくさん使った窓です。
「窓から見える空の色は隠したくない」
とのご要望があったので、空の見える窓の上部は無色透明に近いガラスを使用しています。右下には絵付けしたホワイトテリアの小さなガラスピースを。鮮やかで、唯一無二の窓ができました。
今回は、既存の窓の上に、ステンドグラスのための木製サッシを新たに取り付ける方法で施工しました。既存の窓は手前開きと上部開きができる特殊なもの。その窓の動きを妨げないように、木製サッシのサイズや取り付け方を工夫しました。
裏にある既存の金属サッシが見えないように、幅広の額縁のように木を組み、室内の木部と同じ色になるように塗装。その特製サッシを既存の窓のハンドルに触れないぎりぎりの場所に取り付けます。
蝶番も内装に合わせシックな色で。無垢の木の歪みも想定し、一枚板ではなく3本の材を組み合わせる方法で木製サッシをつくりました。
木製サッシの動きを確認したところで、いよいよステンドグラスの取り付けです。
押縁でステンドグラスを押さえて、無事取り付け完了。既存の窓を開けたいときには、ステンドグラスの窓がきちんと開くようになっています。
室内からは木製サッシが見えるので、部屋の窓周りの雰囲気がガラッと変わりました。Hさんご夫妻にも喜んでいただけて、充実した取り付けとなりました。